はじめに

いまの日本は菜食ブームだと言います。テレビや雑誌などで、LOHASやマクロビオティックについての特集を見かけた方々も多いのではないでしょうか?しかし、わたしの実感としては、町にベジタリアン・レストランが増えているとか、そういう状況に日本はまだまだなっていないと思うのです。
わたしはミュージシャンですので、ヨーロッパやアメリカに演奏旅行に行くことが多いのですが、欧米では大きな街ならたいていどこでもベジタリアン・レストランがあります。さらに、普通のレストランに入って「自分はベジタリアンなんだけど」と言えば、そういうメニューを作ってくれることが多いです。
しかし、日本ではまだまだそういう融通が全然きかない。日本の場合、アレルギー問題などのせいで、食品の品質表示がきちんとされるようになってきた事はとてもいいことだと思うのですが、まだまだベジタリアンに対する理解がないのが現状だと思います。
たとえば、日本ではテレビに出ているタレントが「自分はベジタリアンだ」と言ったりはしないわけです。それにひきかえ、たとえば次の海外のミュージシャンたちの名前には、みなさん、聞き覚えがあるかと思います。
ポール・マッカートニー、ホイットニー・ヒューストン、ジェフ・ベック、ボーイ・ジョージ、マイケル・ジャクソン、プリンス、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、ジョニー・ロットン、プロディジー、ビースティ・ボーイズ…などなど。
彼らは全員、自分がベジタリアンだと公言しているミュージシャンたちです(「IVU -International Vegetarian Union」のデータを参考にしました)。つまり、誰でも知っているようなミュージシャンが普通にベジタリアンなわけで、欧米では肉食を止めることがごく自然なことなのです。
そういう開かれた状況が他の国ではあるんだってことを、わたしはまず、みなさんに知って欲しいと思います。そして、もうひとつ。先にあげたミュージシャンのほとんどに共通することがあります。彼らはまず“人間による動物虐待”への問題意識が根底にあって、菜食生活を始めた人たちです。
日本の場合、動物の権利(アニマルライツ)問題は脇に置いておいて、「美容のため」「健康のため」「なんとなくオシャレだから」といった理由で、菜食がブームになっている。そのあたりに、わたしはちょっと違和感をおぼえます。

著者
著者
わたしがベジタリアンになった理由は、自分の永年の自己矛盾を解決するためでした。わたしはずっと昔から動物たちが可愛くて大好きでしたが、肉は食べていました。動物が好きなのに肉を平気で食べてしまうというのはおかしな話です。どうしたらこの矛盾を解決できるか?と考えて決断したのが、ベジタリアンになることでした。この本のサブタイトル“Cruelty Free Life”とは、欧米のベジタリアンの間では広く使われている言葉で「動物虐待のない生活」という意味です。人間は動物の肉を食べるだけでなく、毛皮を衣類にしたり、ペットショップで売り買いしたり、動物園で見世物にしたり、さまざまな動物虐待を行っています。わたしは地球上から動物虐待がなくなれば良いと願っています。そのために誰でも出来ることが、まず肉食を止めてベジタリアンになることだと思っているのです。
たまに、「食の知識なくしてベジタリアンになるのはよくない」という意見を聞きます。また、こうした意見に惑わされてベジタリアンになるのは難しいと思っている人も多いのではないでしょうか。食の知識はあるにこしたことはないとは思いますが、まず肉食を止めることが大切だと思います。ベジタリアン食の勉強はそれからゆっくりとやってゆけば良いのですから。この本は一度目覚めれば簡単にベジタリアンになれる、という自分の体験や日々の生活を書きつづったものです。