‘An interview with Merzbow’2014の日本語訳です。
新バンドCU/TSとしてのレコーディングを開始したそうですが、アルバムの制作予定はありますか?また、このバンドでツアーをする予定は?
5月にロンドンのスタジオで、サーストン・ムーアをゲストに迎えてレコーディングしました。その翌日にはOval Spaceで、私とマッツ・グスタフソン、バラージ・パンディの3人でライヴを行いました。スタジオ録音はミックス後に、RareNoiseRecordsからアルバムとしてリリースされる予定です。
曲を作る際、メンバーの誰かが構成案を出すのですか?それは誰の担当ですか?それとも、CU/TSの曲は完全に即興なのですか?
最初のアルバムでは、ブタペストのスタジオで行った即興セッションの録音を私が東京の自宅でミックスし、それをブタペストに送り返して、最終的にバラージがスタジオでミックス・ダウンしました。
あなたの音楽にはヴィーガン・ストレイトエッジの信念が強く表されていますが、こういった信念は日本である種の文化的ムーブメントになっているのですか?
日本では、ヴィーガンやストレイトエッジの人間はきわめて少数です。たとえヴィーガンでも飲酒や喫煙をする人も多い。アニマルライツの運動は、毛皮反対デモなどの形態で以前と比べると浸透してきてはいますが、一般的な認知度はまだ高くありません。ヴィーガン対応のレストランも欧米と比較すると非常に少ないです。
インディペンデントアートとヴィーガンストレートエッジは、表裏一体だと思いますか?ライフスタイルとアートの両面での社会規範への対抗みたいな。
日本でヴィーガン・ストレイトエッジでいることは、捕鯨やイルカ漁などの残酷な伝統的食文化を擁護する一部右翼や、酒・タバコ産業といったものと敵対することを意味します。従って、既存の社会システムに対抗するという点においては、私にとってMERZBOWとVegan Straight Edgeは同等の活動です。
最近発表されたFull of Hellとのコラボレーションについて教えて下さい。
Full of Hellについては、YouTubeで見つけたのがきっかけで聴いたことがありました。彼らがPulse DemonのアートワークをアレンジしたTシャツを作って送ってくれました。今回のコラボレーションは、彼らの友人でもあるバラージ・パンディが仲介してくれて順調に進みました。完成がとても楽しみです。
ノイズミュージックは将来、メインストリームに受け入れられるようになると思いますか?
ノイズの代表みたいに自分は思われているのかもしれませんが、関係ないしどうだっていいです。メインストリームになるための努力も一切したいと思いません。
前衛芸術を取り入れたのは、反抗の手段として、それとも表現・浄化の方法としてですか?
もともとダダ、シュルレアリズムといった反芸術思想の影響を受けていたからです。また、破壊と創造、死と再生といったプロセスを重視する心理学と錬金術的思想にも影響を受けました。しかし、「前衛芸術」といっても、中には拝金主義だったり動物を虐待したり、どうしようもなくくだらないものも多くあります。だからそれらを「反抗」とか「浄化」であるなどと言うことはできません。
ヴィーガンでありストレイトエッジである者として、Earth Liberation FrontやAnimal Liberation Frontなどの団体をどう思いますか?
ELFやALFとされる人々が行っている直接行動の是非についてここで判断することは困難です。彼らは組織ではなく、世界各地に散らばった個人だからです。私に言えるのは、個人が様々な方法で地球環境や動物の権利について問題提起することが重要だということです。方法は個人がそれぞれ選択できます。例えば、肉食をやめてVeganになることで間接的に食肉産業に損害を与えられるし、同様に毛皮の購入や喫煙をやめれば毛皮産業やタバコ産業に損害を与えることができます。
あなたの作品は、人類全般の苦闘を表しているのですか、それともあなたの個人的な表現形式ですか?
個人的な性質のものです。
分野を問わず、現在好きなアーティストを教えて下さい。
最近聴いているのは、CanadaのAHNAとかIskraなどのRed&Anarchist Blackened Doom Crust Punk Core。5月にバンクーバーでライブをやった時にAHNAのメンバーにレコードをもらって、興味を持ちました。